● 県域水道一体化の論議の中で、法定耐用年数で計算した設備更新率が非常に低いので、近い将来、更新費用が莫大なものになる。個々の市町村では負担に耐えかねるので県域水道の一体化が必要だといっています。

● 一方で法定耐用年数がきてもまだまだ使用は可能なので設備を順次更新していけば更新費用は抑えられるともいわれます。つまり法定耐用年数よりも実質的な使用可能年数のほうが長いということです。

● 市区町村ごとに法定耐用年数で計算した設備更新率を比較して、○○市の水道設備は設備更新が遅れているというように使われます。

平成29年水道統計によれば、奈良県の管路更新率(0.47%)は全国平均(0.70%)に対して大きく下回っています。葛城市の管路更新率は奈良県の管路更新率よりも多少高い(つまり更新が進んでいる)のです。

 

1,          法定耐用年数の耐用年数とは?

耐用年数とは、設備などの使用可能年数のことです。たとえば皆さんがお持ちの乗用車の使用可能年数は何年でしょうか。我が国の統計では、乗用車が廃車になるまでの年数は、平均12年となっています。

ここで疑問がでてきます。年間走行距離が1万キロもない週末ドライバーの車と毎日の通勤にも使う車では使える年数が違うのではないかという疑問です。経験的に走行距離が10万キロを超えるとハンドルの遊びが大きくなります。他にも故障がいろいろ出てくるものです。したがって年数よりも走行距離で表すのが妥当かもしれません。

あたりまえのことですが、耐用年数は使用する条件で変わってきます。例えば24時間フル操業の工場の機械設備は、1日12時間操業の工場の機械設備の耐用年数と違って当然です。

 

2,          法定耐用年数の法定とは?

法律で定めたという意味です。そしてその法律とは税法です。もっと詳しくいえば所得税や法人税(法人所得税)を計算するためのものです。国内のすべての事業者を対象にしているので、個々の事業所の使用条件の違いを勘案していません。一般的に法定耐用年数は実際の耐用年数よりも短く設定されているようです。

先に乗用車の使用年数は平均12年でしたが、乗用車の法定耐用年数は6年です。さきに述べた廃車されるまでの年数の半分になっています。

 

3,          実質的な使用可能年数(更新基準年数)

水道事業における管路の法定耐用年数は40年(管の材質は指定されていない)となっていますが、管路の更新は実質的な使用可能年数によることになります。

管の材質はポリエチレン管、鋼管、鋳鉄管、ダクタイル鋳鉄管など様々です。また埋設する土壌の性質も様々です。

更新基準年数は管の材質により40年~80年と設定されています。もっとも長持ちするダクタイル鋳鉄管の場合、腐食性土壌で65年、一般土壌で概ね100年という調査結果もあります。

葛城市の水道を守る会事務局